氷上郡6町の新市名称が「丹波市」に決まったが、単なる委員の人気投票で市名が決まったという印象をぬぐえない。協議に時間は費やされた。しかし、その協議は、前半はどういう方法で市名候補を選ぶかという「手続き」の決定、後半は、その「手続きの正当性」の説明に終始したと言える。 30点から5点に候補を絞る名称選定小委員会は、「どの作品が良くて、どの作品が悪いかを各自が意見を述べ合って(候補を)決めるのは難しい」という意見が大勢を占めた。具体的にどの候補がどういう理由で候補にふさわしいなどと、委員同士が意見をぶつける「協議」をせず、投票のみを行った。このため、委員会としての「選定理由」が欠落してしまった。 この消極的な考えが5候補提案後、住民が求めた「選定理由の説明」を無視せざるを得ない状況を招いた。議論は尽くした。確かに「手続き」に関しては。説明責任も果たした。「手続きを含めた経過」に関しては。しかし、それは、名称選定における委員の役割の半分を果たしたに過ぎない。協議不足を認め、再協議すべきではないか。 5候補に不満を漏らす委員も少なからずあった。しかし、住民代表委員も加わりまとめた案の修正を求めることははばかられたようだ。その遠慮は必要だったのか。配慮すべきは住民の声でないのか。(足立智和)