遠山敦子文部科学大臣が先日、「確かな学力の向上のための2002アピール『学びのすすめ』」を発表した。4月からの新学習指導要領の全面実施を前に、子どもの力を伸ばし、やる気を高めるためにさまざまなことを提示している。 一人ひとりにきめ細かい対応をすることや、宿題、始業前の学習、放課後の補習などを奨励。学ぶ機会の充実や習慣付けも重視し、基礎・基本をしっかりと定着させるとうたっている。 23日に篠山市教委で新教育課程に向けての研修会が開かれた。ここでも講師の神戸女子短期大の長瀬荘一教授が、「自分で考える力を養うのに総合学習は有効」とした上で、「基礎基本なくして総合学習は成立しない」と指摘した。しっかりした土台なくしては応用も生まれない。ごく当然のことだと言える。 さて、最近大学生をはじめとして学力低下が問題になっている。新指導要領と学校週5日制の実施で、授業時間や教育内容が削減され、問題の深刻化をいっそう懸念する声も高まっている。今回のアピールは、そのことを受けて出されたものだ。 だが、子どもたちにだけ要求するのではなく、私たちも“大人としての基礎・基本”が身についているか、一度考えてみる必要があるのではないだろうか。子どもたちの現状は、大人の社会を反映したものとも言えるのだから。(坂本守啓)