大人になりきれない大人が増えている。社会のルールをわきまえない、自分勝手で無分別な大人が増えている。そんな大人には、当たり前のことが当たり前として通用しない。経済的に困窮しているわけではないのに、給食費を滞納する親はその最たるものだ。▼丹波市教育委員会は四月から給食費の徴収方法を統一する。市内にはPTA役員を通じて集金している地域があるが、すべて口座振替になる。口座振替は利便性が高い反面、滞納が増えることが心配され、担当課では「対策を検討したい」としている。こんな対応が求められること自体、情けない。▼給食費を支払わない理由として「義務教育だから、国が面倒をみるべき」と考えている親がいる。子どもに教育を受けさせる義務は国にあると思っているのだろうか。▼憲法では「すべて国民は、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」としている。この条文の主語は、国民すなわち保護者であり、国ではない。教育を受けさせる義務は保護者が負っているのだ。先の条文には「義務教育はこれを無償とする」との続きがあるが、無償は給食費まで含むものではない。▼国が面倒をみて当たり前、「してくれて当たり前」と考える親。それは、自分の要求が通らないと、駄々をこねるわがままな幼児と大差がない。 (Y)