「デイ・アフタートゥモロー(『明後日』の意)」という昨夏封切られたSF映画については以前にも書いた。地球温暖化に伴う海流の変化で今度は急速に寒冷化が進み、異常気象が続いた末、ニューヨークが氷雪に閉ざされるというストーリーだ。▼ドラマとしては「タイタニック」を真似たようなB級作品の感をぬぐえなかったが、各大陸をすっぽり覆う超大型台風や高波の場面はすごい迫力。昨年来の日本や東南アジア、アメリカの現実とあまりに似ており、レンタルのフィルムをもう一度観た。▼ロサンゼルスの都心を襲った竜巻は車を宙に舞わせ、川となったマンハッタンの市街にロシア船が漂流してくる。人々が国境を越えてメキシコに避難するシーンは、先日のハリケーンでニューオーリンズから隣の州のヒューストンのドームに収容された光景とオーバーラップした。▼映画では米大統領が殉死し、昇格した副大統領がメキシコの大使館から「これまでの経済優先の政策は傲慢だった」と陳謝の放送をして終わる。もしブッシュ大統領が観ていたら、身につまされるところが多分にあったろう。▼昨今の異常気象と温暖化の関係は未解明要素が多いとは言え、せめて京都議定書の遵守では各国とも足並みをそろえてほしい。明日にかけての台風14号の進路を気にしながらこれを書いている。(E)