丹波市山南町の恐竜化石の第1次調査が終了した。1月の発表から丸3カ月。県立人と自然の博物館から発表があるたびに「国内初」の見出しが躍ったニュースも、小休止となる。 化石を含んだ岩を搬出する最後の作業を取材した。石こうを染み込ませた布を巻かれた岩は真っ白で横に長く、カメラを構えて凝視しているうちにふと「エジプトのミイラみたいだ」と思った。とはいえ、こちらは1億4000―1億2000万年前のもの。確認されている中では、最古でも約4600年前とされる古代エジプトのミイラより、圧倒的に古い。「石を割ると1億年前の世界がぱぁっと広がるんです」。発見者の一人で、高校講師の足立冽さんの言葉を思い出した。 足立さんは、「短期的な経済の活性化は、恐竜ではできない」という。むしろ、発見を契機に子どもたちが自然に興味を持つことや、文化・学術が盛り上がることを期待している。川代渓谷を見渡し、「モニュメントや施設は、この美しい景色にはいらないんです」と言い切った。20年以上化石を追いつづけ、夢を実現した人の気概を感じた。(古西広祐)