中澤夫妻の自費出版

2007.05.28
未―コラム記者ノート

 先祖の歴史を調べた経緯を冊子で自費出版した、丹波市柏原町の中澤毅さん・みつゑさん夫妻を取材した。中澤家は、明智光秀の丹波攻めで落城した大山城主の末裔と伝えられている。 墓地の整備完了をきっかけに、親類らと2002年から4年間にわたって取り組んだ先祖の調査の過程を記述。墓地にある2つの石碑について、行方が分からないままの城主の2人の息子のものではないかと調べる様子やゆかりの大山城跡を訪ねたこと、先祖に思いをはせて供養の法要を催したことなどをつづっている。 文章は、調査当時に残していたメモをもとに書き、10日ほどでまとめたそうだ。当初は家庭用プリンターで印刷した簡素なものを考えていたが、どんどん構想がふくらみ自費出版という話になった。ともに80歳代半ばの夫妻。冊子は約40?で決して分厚くはないが、高齢となって出版作業に取り組もうというそのエネルギーに驚かされた。 「私がいなくなったら誰もご先祖のことを知らなくなる」。出版の動機をたずねた際、みつゑさんは「遺言のつもり」と語った。言葉と裏腹に、その笑顔は実に生き生きとしていた。(古西広祐)

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