戦後最も若い総理大臣として船出した、安倍晋三政権が1年で瓦解した。国会で所信表明演説を行い、代表質問を控えた時期での辞任表明。丹波地域の有権者からも、厳しい声が上がった。 健康に問題があったにせよ、直前までの言動を思えば「無責任」と批判が出るのもやむを得まい。戦後日本のあり方を見つめなおそうという姿勢への期待も確実にあったが、それらの施策は、政権崩壊によって、本格的な議論の俎上に載らぬまま頓挫してしまった。非常に残念に思う。 この新聞が発行される時点では、安倍氏の後継総裁を巡る選挙が始まっている。しかし、報道によると、どうも14日の告示を待たずに大勢は決してしまったようだ。伝えられる派閥の動静は、ずいぶんと古い時代の自民党の姿を思い起こさせる。 実力者の顔色をうかがう派閥政治は、党内融和には向いているのだろうが、機動性を持って国政を動かせる体制では全くないだろう。自民党は本当にこの難局を派閥の合従連衡で乗り切ろうとするのだろうか。その瞬間に、政権担当能力を失うような気がしてならないが。 (古西広祐)