年内で県立柏原病院脳神経外科の常勤医が不在になり、診療が縮小される。同病院が「中核病院」として、近隣病院や開業医で診られない患者に提供してきた「高度な医療」は、頭(脳卒中など)を診る同科と、心臓(心筋こうそくなど)を診る循環器内科の存在によるところが大きく、その両方が失われようとしている。 脳神経科は内科や麻酔科などと関係が深い。同病院でも以前は出血がない脳こうそくなどは、内科が担当。しかし、内科医の激減で脳神経外科が出血がない場合も診察を引き受けていた。緊急手術が多い中にあって、常勤麻酔科医がいないという万全でない状態でも、献身的に治療を続けてきた。 20キロ先にあった医療が、ある日から40キロ先に遠ざかるとしよう。40キロ先に遠のいた医療も、必ず自分や家族を受け入れてくれるとは限らない。先客がなく、医師と連絡がつけばの条件が付く。 重症が明らかでない「念のための受診」でも、場合によっては遠方の病院を受診することになるという心構えが必要だ。診療縮小に、改めて医師がいて医療が受けられることのありがたさと、それがなくなることの恐ろしさを思わずにいられない。 (足立智和)