選挙を例外として、丹波新聞の1面を1つのテーマが埋め尽くすことは、まれだ。ここ数年では、氷上郡合併と大被害をもたらした台風23号ぐらいしかない。9月23日号の1面は医療記事が埋め尽くした。うち、5本が県立柏原病院関連。いかにこの地が今、特別な状態、しかも特別に悪い状態にあるのかを示す1つの証左と言えるだろう。 同日号では、「神大病院から小児科に非常勤医」「内科常勤医が2人増」などの見出しが並んだ。事態が好転していると感じた人もあったかもしれないが、誤解だ。 同病院の常勤医数は、内科と脳神経外科で2増2減の26人。医師数は増えていない。果たして26人が「下げ止まり」で、これから増えていくのか、次の異動を待たなければ分からない。仮に今以上に減ることになったとしよう。そうなった時に、何ができるのか。脳神経外科の診療縮小からも分かるように、私たちには、何もできないのが現実だ。 小康状態にある今、医師を増やす手立て、医師にとどまってもらえる手立てを講じなければならない。医師が純増に転じて初めて、再建の一歩が踏み出せる。柏原病院は、依然危篤状態にある。(足立智和)