恐竜博物館を訪ねる

2007.11.01
丹波春秋

 秋の好日、1人で福井県の山間部へドライブに。初日の大野は、以前と変わらぬ落ち着いた町だった。中心通りはシャッターの閉まった店もあるものの、あちこちにギャラリーなどがあって、まずは活気があった。▼主婦たちが野菜や食器を洗う水の湧く、「大清水」(おしょうず)と呼ばれるたまり場が今も残る水の良い地で、造り酒屋や味噌・醤油屋が軒を並べている。人々も親切で、観光協会から電話を入れてもらった宿の女将は、飾らないさっぱりした人だった。▼翌日はすぐ隣の町の勝山へ。これが今回の一番の目的である県立恐竜博物館。郊外の小高い森の上に突如として、恐竜の卵をイメージさせる巨大ドームが現れ、時間を遡ったような神秘的な感じを抱かせる。▼140億円をかけたというだけあって、内容もなかなかの迫力。大小様々な種類の恐竜の実物大の骨格模型が100点近くも並んだコーナーには圧倒された。「丹波竜」とほぼ同じ、体長23メートルの草食恐竜の下に立ち、改めてその大きさを実感する。▼ただ、帰りに寄った勝山の町なかは、がらんとした感じ。恐竜博物館のほかにも、5層の天守閣の歴史博物館や東大寺のような威容の大仏の鎮座する寺もあるのに、いずれも中心部から遠く、折角の観光資源が活かされていないようなのが、残念に思えた。(E)

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