北播の小野(220床)、三木(323床)両市民病院が統合で合意したという。両市の人口は、13万3000人。両病院の医師の派遣元の神戸大からの提案だったため、断れば、医師引きあげが待っていただろう。市に選択の余地はなかっただろうが、限られた医療資源を集め「病院」というハコでなく、「医療」を守る道を選んだ両市の決断は、間違いでないと確信する。 大学のやり方は強権的だが、ある意味で親切とも言える。「統合しなければ、医療を失う」と、警報を発したからだ。警報により、崩壊が現実のものとなり、「医療がなくなるよりは…」と、苦渋の選択を促したと推察する。 その点、県立柏原病院の小児科を守る会の活動の原点に似ている。母親たちは、小児科医が発した「母子医療がなくなる」との警報に危機感を募らせ、医療を守ろうと、運動を始めた。 救急医療についても、同病院からたびたび警報が発令されている。警報は、聞こうと意識する人にしか、聞こえない。耳を澄まし、目の前で起こっている現実を直視してほしい。知り、危機感を共有する。共有の輪の広がりなしには、医療崩壊を止めることはできないのだから。(足立智和)