ひかみおやこ劇場

2008.01.21
未―コラム記者ノート

 小学生の頃、子ども向けの演劇を観る機会があった。筋書きは、「魔女にいじめられるお姫様を、王子様が救い出す」という極めて単純なもの。幼い身には、お姫様をいじめる魔女がとても憎らしく、思わず大声で野次ってしまった。いま思い出しても恥ずかしい。 幼少時代の観劇体験を思い出したのは、20日の鑑賞会を最後に活動を終える、「ひかみおやこ劇場」を取材したからだ。子どもたちの文化環境を充実させようと、18年前から劇団などを招き公演を企画してきたが、会員の減少で活動が困難になった。親子の娯楽が多様化したほか、塾やスポーツクラブに力を注ぐ人が増えてきたという。関係者は「生の舞台を観ても、すぐに成果が出るわけではない。しかし、木の根っこになる」と、終了を残念がる。 我が身を振り返ると、あの時の観劇が何かの役に立ったことはない。しかし今でも、恥ずかしさと同時に楽しさも思い出せる。目の前で生身の人や人形が物語をつむいでいく様子は、やはり、特別な力を持っているのだろう。同劇場最後の鑑賞会は、午後2時から山南住民センター(丹波市山南町谷川)で。(古西広祐)

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