多田の里山

2008.04.10
未―コラム記者ノート

 先日、取材で数年ぶりに丹波市春日町多田自治会の賀茂神社を訪れて驚いた。以前は針葉樹が並んでいた山すその境内が間伐・整地され、日の差し込む里山空間になっていたからだ。異動で春日地域担当を離れてからも、「保月の里づくり」と名付けた地域づくりが行われているのは聞いていたが、その進み具合にうならされた。 この日は、阪神間から集客したハイキングツアーが春日部地域を舞台に行われており、同自治会もコースの一つに含まれていた。里山を大勢の人が訪れたが、こうした観光ツアーの舞台になるのは初めてだという。山すそに広がる景観を保全し、「美しい村づくり」をめざして取り組んできた活動の、一つの成果ともいえるだろう。 自治会長に話を聞くと、「見に来た人に、多田をほめてもらえたらうれしい。そういうことが、むらの活気や元気につながれば」という返事。別の住民も「商売にならなくていい」と言い、「良い環境を子孫に残したい」と話した。肩の力が抜けた自然体の姿勢があふれる集落。春の陽光とあいまってなんとも心地よく感じた。(古西広祐)

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