子どもはいつか一人で立ち上がり、歩き出す。そして、親の手を離れ、もうひとつの「一人立ち」である自立を迎える。親はそれを見守り、支え、応援するのが仕事だ。 最近、地域組織の「一人立ち」に向け、努力している場面をよく見かける。自分たちでできることを模索し、地域の発展に寄与しようとしている。すばらしい動きだが、そこで必ず耳にするのが、「行政はあてにできない。自分たちでやっていくしかない」という言葉。「一人立ち」と言えば聞こえはいいが、無理に立たされているようでならない。 行政を「親」、地域を「子」とするなら、今は家計の苦しさを理由に、親元から離されているようだ。ある自治会長は「こうしろと言うだけで、動き出すと助けてくれない」と嘆き、立とうとしているが、難しい現状を話していた。 もちろん一人立ちをうながすのも親の仕事であるし、理由はどうあれ、今地域は立って歩こうとしている。大切なのは、「立ち上がろうとすること」と「支えること」が両立してこそ、「本当の一人立ち」ができるのではないか。私自身も、地域の一人として考えていきたい。(森田靖久)