少し前のニュースが報じたもので、興味深いものがあった。定年退職した会社員に、会社に対する思いを漢字一字で書いてもらう調査を行ったところ、「忍」という字だったという。我慢の積み重ねだったとの思いから、「耐え忍んだ」という意味だそうだ。 会社や家庭を支えるため耐え忍んできた人たち。そうした人は、時代劇に出てくる忍者とは違う意味での「忍者」かもしれないが、時代劇の忍者が自分の感情をぐっと抑えて任務を忠実に遂行していることを思うと、一脈通じるものがある。 丹波地域ではそうした元忍者が活躍している姿をよく見かける。好きだった絵画の趣味に励む人。自主運営する料理教室のメンバー。まるでこれまでの我慢をバネにしているかのように、力を存分に発揮している。彼らの中にはIターン者が多い。楽しい定年後を過ごしたいと、広い土地と豊かな自然を求め、丹波に来たのだという。 彼らに活躍の場を用意することが、丹波地域の人口増、活力アップにつながるのではないか。日々を楽しむ元忍者たちを見て、そんなことを思った。 (森田靖久)