「バーチャルではなくホンモノとの出会いだ」。篠山市の河南教育長の言葉が耳に残った。 大山小の児童たちが発見した獣脚類の化石。またしても篠山層群での貴重な発見に驚かされるが、今回は教育現場の出来事ということが意義深い。発見以降、児童たちは時間を惜しんで石を割り、恐竜について調べるなど、熱中ぶりには目を見張るものがある。 恐竜は子どもたちだけでなく私たちも映画やゲームを通してよく目にする。当然だが、そのどれもがCGなどでつくりだされたニセモノ。でも、一通り知っている気になってしまう。それが、バーチャル(仮想)の怖さだと思う。 ゲームの中で恐竜を見ても、実際に目の前にある石に、「化石が埋まっているかも」という想像力は生まれない。子どもたちの熱中はまさしく目の前のホンモノの持つ力を証明したものだろう。 市や市教委は、ぜひこの力を他の小学校など、教育現場に波及させてほしい。そうでなくても仮想があふれる世の中。現実のすばらしいものを見て、正しい想像力を持つ子どもを育てるには絶好の機会になるはずだ。 (森田靖久)