「守る会」の活動念頭に住民参画盛り込む

2008.09.03
丹波の地域医療特集

 県立柏原病院の小児科を守る会の丹生裕子代表が委員を務める 「安心と希望の医療確保ビジョン」 具体化に関する検討会 (座長=高久史麿自治医科大学学長、 14人) が27日、 厚生労働省で行われた。 来年度の医学部定員を過去最高程度 (8360人程度) とすることや、 将来は医師養成数を今より1・5倍に増やすことなどを盛り込んだ中間まとめについて合意。 実現されれば、 日本の医療政策を大きく転換させる。 この中に、 「住民とともに地域医療を守ることが重要」 と、 守る会の活動を踏まえた 「患者・住民の参画」 が盛り込まれた。 (足立智和)
 まとめは、 「医師養成数」 「医師の偏在と教育」 「コメディカル等の専門性の発揮とチーム医療」 「地域医療・救急医療体制支援」 「患者・住民の参画」 の5つの柱から成る。 丹生代表は、 8月5日に開かれた第4回検討会で、 会が制作した車用マグネットや、 うちわなどを委員に配布し、 会の取り組みを報告。 同会が作った冊子 「病院へ行くその前に」 は、 「家庭でできるトリアージ (症度判定)」 と、 高い評価を得た。
 これを念頭に、 「患者・住民の参画」 の項で、 「 『子どもを守ろう、 お医者さんを守ろう』 『コンビニ受診を控えよう』 といった地域住民への呼びかけや、 『病院へ行く、 その前に』 というフローチャートを作成・配布するなどの取り組みが行われている。 各地のこうした取り組みを支援し、 住民とともに地域医療を守ることが重要」 と、 同会の主張をそのまま引用した原案が示された。 丹生代表は 「提言にまで会のことを盛り込んでもらうのは、 おそれ多い。 一般的な表現に改めてもらえれば」 と述べ、 字句が修正されることになった。
 舛添要一厚労相は、 「予算編成に反映させていきたい」 と述べた。 厚労省によると、 検討会は、 頻度を減らしつつ、 今後も継続されるという。
 丹生代表は、 「医師養成数の増員など、 検討会の内容が実現に向かっていて、 国が動いているのを実感している。 毎回、 こんな会議に出させてもらっていいのかという思いはあったが、 大臣が仲間に入れて下さり、 私なりに頑張って発言できた。 医師増員で労働環境が改善され、 田舎でも医師が充足し、 地域医療が少しでもいい方向に向かえば」 と話していた。
 同検討会は、 大学教授など、 日本の医療界を代表する人たちが委員を務め、 丹生代表だけが非医療者。 「住民としてできること」 について意見を述べた。

関連記事