県病院局がまとめた県立柏原病院再生プラン。柱の1つ、他の県立病院からの応援が満足に得られないことが、開始2週間目にして明らかになった。「県病院局は、当直アルバイトの医師すら集められない」。これが現実だ。 再生プランのもう1つの柱、県と丹波市が神戸大に1・5億円を出し、医師5人を送ってもらう人材育成事業も、見通しが暗い。柏原病院は内科医不足で、病院存亡の危機を迎えている。「5人全員を内科で」。内科の絶対的なマンパワー不足をそばで見ながら、いつ崩壊してもおかしくないと肌身で感じている現場の切なる願いだ。しかし、医師供給源の神戸大から、内科医が送られる見込みは、0に近い。神戸大が内科医を送る前提としている県立、柏原赤十字の統合が議論されず、県に無視される形になっているからだ。 大学から内科以外の医師が送られても、延命にはなり得ない。診療の柱、内科が崩壊した途端、外科、産科、そして小児科もなくなる。アルバイトさえ集められない県が、大学の提案を無視する。その作為が地域にもたらす影響がどれほどのものか。答えはほどなく出るだろう。(足立智和)