県、市、神戸大の循環型人材育成プログラムの調印式終了後の取材で、神戸大医学部附属病院の杉村和朗院長は、「起死回生の策ではない。延命だ」と繰り返した。「細々やりながらリニューアルしようとするから中途半端なものになる」。こうも言った。「病院の統合など抜本的な対策を求めても、事態が動かない。『できない』と言われると、それ以上どうしようもない」。 延命は、いつまで続くのだろう。県は、そのうち回復すると考えているのだろうか。院長は、半年、3カ月レベルで病院が崩壊するのではないかと危惧している。これが、専門家の見方だ。大学は、何年も前から、県病院局、医療行政担当の県保健福祉部に統合、新病院をと提示してきた。 今は、そこそこの2次医療ができる病院が10万人に1つあれば御の字と言われる。従来の枠組みへの固執は、大損失をもたらすのではないか。固執しているのは誰なのか。丹波の住民なのか、市なのか、県なのか、議員なのか。 杉村院長は、別の取材で、こう言った。「丹波の人は誤解している。待ってれば神風が吹くんじゃないかと。神風は吹かない」。 (足立智和)