柏原病院眼科の元勤務医4人 「恩返しに」外来診療

2008.10.07
丹波の地域医療特集

 今年8月から常勤医不在となった県立柏原病院の眼科の灯を守ろうと、 同病院勤務医OB・OG有志4人が、 交代制で外来診療を続けている。 勤務医らによると、 眼科開業医が一部診察を助けている病院はあるものの、 月―金曜までを交代制で行っている所はおそらく県内でもないと言い、 「有志が支える地域眼科医療は、 地域医療再生の1つの形」 との自負を持って診察にあたっている。 (足立智和)
 ここ10年の間に神戸大学から同病院で勤務した、 松原令 (44)、 林一 (42)、 金光聖隆 (37)、 牛嶋美和 (31) の各氏。 松原、 金光両医師は甲南病院 (神戸市) の勤務医。 林、 牛嶋氏は、 神戸市内で開業中。 週に1日程度ずつ診察に訪れている。
 丹波地域の中核として常勤3人体制で幅広く手術を行っていたが、 2006年から2人、 07年から1人、 そして8月にゼロとなった。 常勤医不在の事態は、 今年1月ごろに予想できたことから、 4月に4人が集まり、 「医師として成長できた、 育ててもらった病院に恩返しを」 と、 応援を決めた。 大学の週2日の非常勤医派遣の継続もあり、 途切れることなく、 外来と日帰り手術が続けられている。 「連絡ノート」 を設け、 患者情報を共有し、 医師が代わっても診察に支障が出ないように務めている。
 眼科が有名な甲南病院の眼科部長で、 昨年も1200例ほどの手術に従事した松原医師は、 33歳からの3年間、 同病院で医長を務めた。 大学に戻った後、 現在の病院で勤務しているが、 手術指導で柏原病院に携わり続けている。 「温かく優しい丹波の患者さんの人柄に触れ、 患者さんとの接し方や、 医療の難しさを教えてもらったとの思いが、 4人に共通している。 1度閉じると、 再び立ち上げるのは非常に難しい。 入院はできないが、 外来診療と日帰り手術を行うマンパワーは十分ある。 患者さんには、 遠慮せず利用することで眼科を支えてほしい」 と話している。

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