「河原町妻入り商家群」。篠山市河原町は、国重要伝統的建造物群保存地区の中心をなすまちで、「妻入り」型屋根の家がそろって並ぶ。 「妻入り」の意味を理解したのは最近のこと。屋根の棟と平行な面を『平(ひら)』、直角な面を『妻(つま)』という。つまり、屋根の三角の方側に入り口があると妻入り。間口が狭く、奥行きが広い住宅になっている。対するのは「平入り」だ。 先日、篠山市丸山地区を初めて訪れた。集落に着くと、黒い茅葺きトタン屋根の屋根並みがそろい、歴史が感じられた。12軒中11軒が同じ屋根をしており、一つの風景となっている。ここも「妻入り」で、全国的にみると農家には珍しいのだそうだ。 翌日訪れた篠山市味間奥の陶芸家、ピーターハーモンさん宅。かや葺き銅板屋根の銅板を葺き替え中で、真新しい菱形のピンクゴールドがまぶしかった。数カ月経つと黒色に変色するらしい。「こけら葺き」という、薄い木の皮で葺いた屋根付きの門もあった。 「屋根」というのはよくみるといろんな意匠があり、楽しい。 (徳舛 純)