私事だが、今、自分の住む村の歴史を調べている。自治会の事業として村誌を発行するためだ。荘園だった史実、戦乱の舞台の一つになったこと、藩政下での村の様子など、これまで知らなかったことに出会え、興味深い。それらは小さな村の取るに足らない歴史に過ぎないが、今いる自分の足元で起こった出来事だから興味をそそられる。▼資料としているのは、「丹波の荘園」「丹波戦国史」など、私たちの先達が書かれた書籍だ。読みながら改めて先達の努力に敬服する。と同時に、それらの書籍のもとになった古文書などの存在のありがたさを思う。▼先祖が書き残した史料や史書があったからこそ、郷土史に関する本が編まれ、今に生きる私たちは、往古の郷土を知ることができる。そう考えると、弊紙のような地方新聞も郷土史にとって史料的価値を持つのではと思う。▼弊紙は、丹波地方の今を伝える。読者に今を伝えるのが新聞の使命だが、その今は、時の経過とともに過去になり、歴史となる。今を伝えることは結果的に、今を記録することになり、後世にとっては昔を知る史料となる。新聞には記録性という役目もある。▼丹波新聞は今年で創刊85年を迎えたが、まだ見ぬ子孫たちが、郷土史を探るときに役立つ新聞でいられるよう社歴を重ねていきたい。 (Y)