今田小学校6年生が地域の歴史を学ぼうと開いた校外学習の模様を取材するため、自宅から徒歩約10分という近所の「和田寺」へ出向いた。児童らに寺の歴史を披露する住職の様々な話の中で、豊臣秀吉の財宝伝説のくだりがおもしろかった。 秀吉の命を受け、猪名川町の多田銀山に金銀財宝を埋め隠したとされる埋蔵金伝説。その計画に関わった3人の人物が一時、同寺に身を潜めて暮らしていたことが寺の文献に記されているとして、「もしかしたら、この寺のどこかに埋蔵金が眠っているかも知れない」と笑いながら話されていた。 ほかにも境内にまつられている「勘助地蔵」は、金持ちから金品を盗み、貧しい人に施した義賊ねずみ小僧のような活躍をした「森鼻勘助」に由来するなど、寺周辺には小説のような逸話にあふれていた。 すべての伝説や神がかり的な出来事が、科学で解明されてしまう少々つまらない現代社会。今なお真偽が定かではないという魅力を持った物語が数多く残るこの土地に改めて愛着を感じた。 (太治庄三)