オオムラサキの連鎖

2010.02.04
未―コラム記者ノート

 「南新町美しいまちづくりの会」が整備した篠山城跡の竹やぶに、国蝶のオオムラサキを飛ばそうという話が持ち上がっている。竹やぶにオオムラサキ?と疑問に思われるかもしれないが、約3万平方メートルの広大なこの竹やぶには、エノキの大木が27本も生えている。オオムラサキの幼虫はエノキの葉っぱしか食べないので、「幼虫のエサはたっぷりある」というわけだ。 近くに住む河合雅雄さんが「オオムラサキの林にしては」と地元に話されたことがきっかけで、丹波の森公苑森づくり活動アドバイザーの足立隆昭さんと一緒に取り組むことになったという。篠山小学校でも飼育しようと、使われなくなった水鳥小屋に網を張り、中にエノキも植えてオオムラサキ用に模様替えした。 ただ、蝶になったオオムラサキは、今度はブナ科の樹液をエサとする。クヌギ、アラカシ、コナラなどがなければ生きられない。また、スズメバチが木に傷を付けなければ樹液は出ないのだそうだ。固有の生態を持つ動植物たち。生き物がすめる環境をつくるということは、複雑に連鎖している関係を知らなければならないと教わった。(古西 純)

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