京都大学教授 畑浩之さん

2010.08.02
たんばのひと

物の成り立ちを研究
(はた・ひろゆき)京都市在住

 1956 (昭和31) 年、 丹波市春日町多利生まれ。 柏原高校、 京都大学理学部卒。 同大学院修士課程・博士課程修了。 京都大学助手、 助教授を経て2004年から教授。

 京都大学大学院理学研究科の教授。 物質の最小単位である素粒子を研究する。 「紙と鉛筆さえあればできる学問。 大学院生と議論するなかで、 新しい発想が浮かぶ」 と話す。
 高校時代に、 「物質は何からできているのか」 といった素朴な疑問を持ったことが現在の仕事の原点になった。 「宇宙の成り立ちとも関係する。 実生活には役に立たない基礎学問だが、 基礎が無ければ応用もない」 という。 「ひも理論」 と書かれた紙が研究室に張られている。 「宇宙のすべては、 輪ゴムのようなひもから成り立っているということをきちんと理論づけること」 が現在の研究テーマだ。 「研究テーマを見つけ、 実現可能なものかどうかを見極めることが一番難しい」。
 素粒子論でノーベル物理学賞を受賞した益川敏英京都大学名誉教授とは、 助手・助教授時代の10年間同じ研究グループで仕事をした。 「よくしゃべる面白い教授だった」という。益川さんは、 「英語があまり得意でない。 外国の学会には、 絶対に行かない」 と世界的な研究者の意外な素顔が明かされた。 畑さんも、 「飛行機が苦手」とやはり海外に出かける機会は多くない。 「ひらめきがすべて。 自宅と大学を徒歩で往復する間にひらめくこともある」。
  「子どものころに農業を手伝ったのが影響したのか、 野菜作りが趣味。 ナスやダイコンがサルに食べられて大変です」 と苦笑。
 小学生6年生の時、 アマチュア無線電話級に合格して話題になった。 「古里の思い出はいっぱい。 特に、 自分の将来を考えた意味のある高校3年間だった」 と語り、 柏陵同窓会阪神支部総会には欠かさず出席。 「良い研究者を育てるのが目標。 物理の議論に教授と大学院生の垣根はない。 先生と呼ばれた時は、 下心が見える」 とにっこり。    (臼井 学)

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