請負業者決まらず 丹波市のごみ処理施設

2010.08.19
ニュース

 丹波市は12日、 春日町野上野ですでに造成工事を進めている一般廃棄物処理施設 「(仮称) 市クリーンセンター」 の整備工事と15年間の運営事業における事業者の募集について、 すでに応札している入札参加資格者から、 開札直前の7月30日になって 「辞退届」 が提出されたことを明らかにした。 市は、 ごみを蒸し焼きにする炭化方式を採用したが、 参加資格者は1グループ (3社で構成) しかなかったため、 事業を請け負う業者が決まらなかった。 辻重五郎市長は、 今後の方針について 「専門家や地域、 議会の意見を聞いて総合的に判断したいので、 現在のところは白紙だが、 早急に示したい」 と話すが、 同事業をめぐっては、 用地選定から問題が続出した経緯があり、 市長の政治責任を問う声も議会から上がっている。
 12日に急きょ開かれた、 市議会の同施設建設に係る調査特別委員会 (足立修委員長、 23人) の席上で明らかにした。
 市が要求する技術水準と価格の両方から審査する 「総合評価方式」 の一般競争入札が執行される予定だった。 市によると、 2月19日の入札公告の後、 資格審査申請書を提出した (3月17日締切) のは、 メタウォーター西日本営業部 (大阪市北区) を代表企業とし、 大日本土木神戸営業所 (神戸市中央区)、 メタウォーターサービスO&M部関西支店 (大阪市北区) の3社で構成する1グループのみ。
 同グループは5月27日、 炭化施設の技術提案書と入札書、 リサイクル施設の見積設計図書などを市に提出。 その後、 選定委員会 (委員長=横田勇・静岡県立大学名誉教授、 6人) で技術審査を行うなかで、 不明瞭な点に関する確認のやりとりをしていたが、 7月30日になって辞退届が提出されたという。 開札は8月3日の予定だった。
 議員から同グループが辞退した理由を問われた市は、 「把握していない。 口頭で理由を聞いたが、 『ありません』 とのことだった。 今のところはヒアリングを行う予定もない」 と答弁。 議員からは 「きっちりと理由を調査し、 市民にも明らかにすべきだ」 「市長の政治責任が問われる大きな問題だ」 などの声が相次いだ。
 辻市長は 「予期せぬ事態により、 事業者選定に至らなかったことを大変残念に思う。 再度、 ご心配をおかけすることに大変申し訳なく思っている」 と陳謝し、 「選定委員会の審議におけるまとめの作業を進めてもらっており、 今後の取り扱いについては、 その報告を受けて検討する」 と話した。
 すでに市は、 同センター建設に向け、 用地購入費や設計、 進入路整備、 地元自治会への交付金など昨年度末までに約9億6000万円を支出。 今年度は、 建設現場の造成工事にかかっているが、 市は、 「造成工事は、 予定通り進める」 としている。
 当初、2011年(平成23) 4月稼働予定だったが、 用地や処理方式の決定に時間を費やし、 稼働予定を2年延長。 任務を終える予定だった氷上クリーンセンターの地元、 氷上町稲継自治会との稼働延長に対する話し合いもまとまっていない。

関連記事