クマタカ繁殖を確認 絶滅の危険が高い猛きん

2010.09.01
ニュース

 丹波市内の山中で、 環境省レッドデータブックで、 「IA類」 (鳥類で14種) に次ぎ、 2番目に絶滅の危険性が高い 「絶滅危惧IB類」 (同20種) に位置づけられている大型の猛禽 (きん) 類クマタカ (タカ目タカ科) が繁殖しているのが確認された。 小動物などをエサとし、 森林生態系の頂点に位置する鳥の確認に、 野鳥に詳しい人たちは、 「広い範囲にわたって生態系が残っている証」 と喜び、 「生息が絶えないよう、 そっと見守って」 と注意を喚起している。 飛翔の目撃例はあるが、 繁殖が確認されるのは稀。
 発見は5月21日。 市内在住の30歳代の男性が、 山歩きをしていて見つけた。 山中で休憩していたところ、 すぐそばの枯れた松の木が大きく揺れた。 先端を見たところ、 大きなタカが止まっていた。 5分ほど歩いた所で、 偶然松の枝に巨大な巣を発見。 白い羽毛で覆われたヒナ一羽を確認した。 月1度のペースで観察に訪れ8月28日、 初めて丹波新聞社記者を同伴した。
 ちょうど巣立ちの季節にあたり、 巣にヒナの姿はなかったが、 近くの松の枝に止まり、 「ピー、 ピー、ピーー」と語尾の音程を上げる独特の鳴き声で親鳥を呼びつつ、 巣の上空を旋回する幼鳥を確認。 捕らえたヘビを脚でつかみ、 幼鳥の元へ運ぶ親鳥の姿も見られた。 翼を広げて飛ぶ幼鳥の大きさは親鳥と遜色なかった。
 巣は、 幹の直径60センチ、 樹齢70年ほどの松の大木の地上約15メートルの所に枯れ枝を集めてこしらえられており、 大きさは直径1メートル×厚み80センチほど。 殺菌作用があるとされる針葉樹の葉が敷き詰められていた。 松の根元には、 幼鳥が食事後に捨てたと見られるリスの背骨やシカのあごの骨などが散乱。 クマタカ特有の横縞模様がある羽も落ちていた。
 巣を取り囲むヒノキ林はうっそうと茂っているが、 近くには、 皆伐された、 雑草が生い茂る緑地があり、 エサを捕らえやすい環境がある。
 発見者によると、 幼鳥は、 最初は白く、 段々こげ茶色に羽の色が変わっていったという。 頭上を旋回する幼鳥に 「カラスぐらいの大きさだったのが大きくなって」 と目を細めた。 5年ほど前にも近くでタカを見たことがあり、 「もう1度見られるとは思ってもいなかった。 探した訳でもないのに、 巣まで見つけられるとは」 と驚き、 「うまい具合にパートナーを見つけてくれればいいが」 と話していた。

 クマタカ 山岳森林帯に住む大型のタカ。 翼を広げると畳1畳分近くにもなる。 小動物から中型ほ乳類までをエサとする。 森に溶けこむ縞模様で、 幅のある翼と長い尾羽で舵を取り、 森林内を飛行することもでき、 「森の忍者」 とも呼ばれる。

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