新聞も「地」で

2010.09.01
未―コラム記者ノート

 先日、以前からの知り合いで、憧れの存在でもあった地方紙記者の方と3年ぶりに酒を酌み交わした。 「全国的な問題もいいが、じゃあそれを地域に生きる人たちはどう思っているのか。スナックのママの意見の方が俺は興味がある」 その通りだと思います。数十万部の発行部数を誇る新聞社でも、考えていることに差異はないのですね。 我が社のこともあれこれと紹介する。「医療問題では大臣も来たんですよ」「変わった野菜や隣りのおじさんまで、いろんなことが載ります」 うんうん、とうなずいていた彼が一言。「たぶん、最も古くて、最も新しくて、今求められている新聞なんやな」 そんな先輩も、インターネットなどによる活字離れが悩みだそう。「その土地の、その新聞でないと読めないことが載っているようにしたい」 高架下の雑多な居酒屋で、出された魚を一口。む、うまいぜよ。店の売りは、「近海で獲れた、地魚のおいしい店」。なるほど、新聞も「地」で行けということですね。 白熱した議論は深夜まで続き、冬のぼたん鍋ツアーの約束をして別れた。(森田靖久)

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