京都薬科大学助教・薬学博士  高田和幸さん

2011.03.10
たんばのひと

認知症治療を手助け

(たかた かずゆき)京都市在住

 1977年 (昭和52) 丹波市春日町生まれ。 柏原高校、 京都薬科大薬学部生物薬学科卒。 同大学院修士、 同博士課程修了。 1年間、 アメリカで研さんを積む。 2005年に研究員。 助手を経て07年から助教。

 アルツハイマー型認知症治療薬の一つ、 ガランタミンの新たな作用を世界で初めて発見した。 在籍する京都薬科大学の研究グループの一員として、 札幌医科大学との共同研究により、 マウスを使った実験で突き止めた。

 アルツハイマー病は、 Aβ (アミロイドベーター) という物質が脳内に蓄積することが原因の一つとされている。 「ミクログリアと呼ばれるAβを取り除く細胞に注目した。 脳内にAβが蓄積するように遺伝子操作をしたマウスに、 ガランタミンを2カ月間投与すると、 Aβが減少し、 マウスの認知・記憶機能が改善することが実証され、 ミクログリアの働きを促進することがわかった」 と話す。 ガランタミンには、 学習や記憶の形成に深くかかわる、 神経細胞の保護作用などが知られる。 「新たな作用がわかったことで、 病気の進行度や症状によって、 他の薬との併用も可能」 と言い、 認知症の治療が進むことを期待する。 研究成果は、 国内や国際学会で発表の予定。

 薬局に生まれ、 薬剤師の父の影響を受けた。 小学2年生の時、 掛け算の九九を覚えるのが苦手だった。「反射的に早く答えるのではなく、 納得した上で正確に答えるのが大事、 という父の言葉が、 客観的に物事をとらえて、 真実を見つけ出す今の研究姿勢に影響している」。

 その父が中学3年の時に、 脳出血で亡くなった。 悲しみの一方で、 脳のメカニズムに関心を持った。 「大学3年の研究室配属時には、 脳の研究を希望し、 念願の病態生理学分野への配属がかなった」 という。「今まで研究を続けられたのは、 女手一つで育ててくれた母や母を支えてくれた周囲の人たちのおかげ。 アルツハイマー病の研究を通じて、 高齢化の進む古里に恩返しできれば」と話す。(臼井 学)

 

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