3月27日号「記者ノート」で書いたように、東日本大震災で被災した岩手県宮古市の田老診療所の黒田仁所長へ物資を届けた。
医薬品は同行を買って出て下さった篠山市薬剤師会の仙田唯子さんに任せ、黒田さんと家族、診療所職員の衣類や菓子を詰めたトランクと、要望のあった電子レンジを運んだ。荷物の中に、コーヒー豆とポット、ペーパーフィルターを忍ばせた。お疲れの黒田さんに一息ついてもらうのが、一番の目的だったからだ。
「支える側の人間のつらさ」を思う。周囲から支える役割を期待され、「任務」から離れ難く、休めない。自身や家族が被災しているのに、だ。
お湯を注いだ途端、被災地の仮設診療所にいることを忘れさせるような、香ばしい香りが部屋中を包んだ。「うまいね」の一言で、来たかいがあったと思った。
田老は避難所を集約し、800人を1カ所に集めた。黒田さんに「もし手に入れば」と言われているのが、大きめのビニールハウス。大量に出る洗濯物の乾燥室に使いたいそうだ。支援は、継続が大切。届けられるように色々と当たっている。(足立智和)