死者何人、という数字

2011.05.12
未―コラム記者ノート

 ゴールデンウイークに岩手県の三陸海岸に瓦礫撤去のボランティアに行こうとしたが、現地の人に「新幹線も車も混むから、またにしたら?」と言われ、丹波地域の中学3年生が順次修学旅行で訪れる沖縄へ行って来た。
 現地の知人の新聞記者が「東日本大震災を契機に、沖縄戦がどれだけトンデモないものだったか、改めて考えた」と言うのを聞き、つくづく考えさせられた。日米合わせて20万人。沖縄戦の死者は、あの悲惨な東日本大震災の10倍以上と、途方もない。これまでは、知識として知っていてもピンと来ない「20万人」という数字が、被災地を訪れたからか、実感を持って感じられるようになった。
 田ステ女俳句ラリーで選者をつとめた俳人の木割大雄さんが、講評の中で、東日本大震災に触れ、死者行方不明者何人、と数字でいうが、一人ひとりに人生があった。数字で言われると、そこが抜け落ちてしまう。そこに目を向けなければ、という趣旨の発言をされた。数字の重みを、ようやく実感を持って感じることができるようになった未熟な身には耳が痛かったが、その通りと思った。(足立智和)
 

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