厄介なエネルギー

2011.06.18
未―コラム記者ノート

 東日本大震災から3カ月が過ぎたが、状況の改善が見られるどころか、悪化の一途をたどっている福島第一原発。メルトダウンに続いて次は何が起こるのか。あの日から心がすっきりとしない状態が続いている―。
 国内にある54基の原発の操業によって、1年間にウラン重量で約1000トンの使用済み核燃料が発生するという。それらを各原発建屋と敷地、そして、青森県六ヶ所村の再処理工場内の貯蔵プールに保管してきたのだが、六ヶ所村ではすでに3000トン以上が貯蔵されており満杯状態。各原発施設内の貯蔵量も約1万3000トンあるといわれ、あと数年で満杯になるらしい。
 1930年代に核エネルギーを発見。日本では、63年に国内初の原子力発電が行われ、使用済み核燃料の後始末がまったくできないままに、半世紀が経った。仮に廃炉にしたところで、放射能まみれの原子炉を解体するには、技術的にも非常に困難で、建設するよりもはるかに莫大な経費と時間を要する。背負いきれないハイリスクと引き換えにある我々の文明。人類は本当に厄介なエネルギーに手をつけてしまった。(太治庄三)
 

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