日本カイロプラクターズ協会顧問 村上佳弘さん

2011.07.03
たんばのひと

「統合医療」めざし尽力

(むらかみ よしひろ)東京都在住

 1956年(昭和31)丹波市市島町生まれ。柏原高、日本体育大卒。同大体育研究所研究員を経てカイロプラクターに。2009年より現職。

 アメリカで19世紀末に創設された 「カイロプラクティック」。 「無理な姿勢や悪い姿勢を長く続けていると身体のアンバランスが生じますが、 『カイロ』 は脊柱を矯正し、 神経の働きを正常にします」。 民間療法だったのが、 1997年以降WHO (世界保健機関) によって公的に認められるようになった。 その背景には、 西洋医学による治療だけではなく、 代替医療も合わせた 「統合医療」 の世界的台頭がある。

 医療費の増大を抑えるためには予防医療が一層重要になるが、 最近の調査によると 「アンチ・エイジング (老化対策)」 で関心がある療法として、 44%の女性が 「カイロ」 を挙げ、第一位だった。「病気を治すというより、 自然治癒力や免疫力を高めることが肝要です」。

 中学、 高校で短距離選手として活躍。 しかしスポーツエリートが集まる日体大では花開かず、 「体育教師にもいまひとつ気が乗らなくて悩んでいた頃に出会ったのが 『カイロ』」。 「健康にかかわる仕事につきたい」 という初志に違わないと思って、 飛びついた。

 2度のアメリカ研修の後、 オーストラリアの大学のカイロプラクティック学科日本校の開校に一役買い、 現在は改称した 「東京カレッジ・オブ・カイロプラクティック」 で講義のほか教務部長として管理・運営全般に携わっている。 業界の質の向上をめざし、 協会の生き字引のような存在。

 ただ、 現行の医療保険制度では、 カイロを初め予防医療に対する保険適用はほとんど認められていない。 最近は政府でも 「統合医療制度」 に目を向け始めており、 業界を代表して国会議員や厚労省などへのヒアリングに努めている。 「丹波を離れるのなら東京でしかできない仕事を、 と父から言われた。 故郷でもお役に立てるなら、 いつでも」。(上 高子)

 

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