神戸市教育長 永井秀憲さん

2011.09.25
たんばのひと

「人は人によって人に」 

(ながい ひでのり)神戸市在住

 1952年 (昭和27) 丹波市市島町生まれ。 柏原高、 神戸外国語大卒。 市民参画推進局長から教育長に。

  「人は人によって人になる」。 哲学者カントの言葉を基にした神戸市の教育理念だ。 「私自身のこれまでを振り返っても、 この言葉通りで、 けつまずきながら人によって育てていただいた。 学校教育だけでなく、 社会教育にも通じる言葉です」 と話す。 今年4月、 教職員を含めると9000人を超える神戸市教育委員会の教育長に就任した。

 大学時代に知り合った牧師の感化で福祉に興味を持ち、 神戸市役所に入庁。 福祉とかかわりのある民生局に配属された。 以来、 市民局、 企画調整局、 保健福祉局などで勤務。 教育畑とは無縁のコースを歩んだ。 今年3月、 市長から 「教育長に」 との話があった。

  「青天のへきれきでした」 と振り返る。 「でも、 教育とは無縁だったから、 先入観なく、 客観的に教育を見ることができると思う」 という。

 3カ年かけて神戸市内の中学校に1カ所ずつ、 「神戸っ子応援団」 という組織をつくる構想があり、 先ごろ第1号の組織ができた。 同応援団は、 地域コーディネーターが地域の人材を学校と結びつけ、 学校の図書室の手助け、 子どもの学習補助、 通学の見守りなどを行うものだ。 「学校の先生がカバーしきれないところを地域の人に助けてもらい、 学校、 地域、 家庭が連携して子どもを育てる取り組みです」 という。

 子どもの数は小、 中学校で12万人。 「毎日のように何か問題が起きています。 夜、 床につくとき、 何もなかったら、 ほっとする」 と本音をのぞかせながらも、 「学校現場では毎日、 職員が必死でがんばってくれている。 私の使命は、 責任を取ることです」 ときっぱり。

 3人兄弟で、 長男、 3男がふるさとに住む。 「両親が亡くなったので、 田舎に帰る頻度は減ったけれど、 田舎の緑を見ると、 心が落ち着きます」 (荻野祐一)

 

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