柏原赤十字病院を管轄する県健康福祉部と県立柏原病院を所管する県病院局が、2病院のあり方の検討を始める。来年冬には検討結果をまとめることを想定している。ここ数年の丹波地域の医療事情は、災害にも似た状況にある。被災地の復興が「元通りにすること」ではないように、丹波市の地域医療の「あり方」も新しい形への再構築が必要だ。
県立柏原は急性期医療を提供し、柏原赤十字は、地域密着型の医療を提供しようと方針を打ち出したところ。片方が必要で、もう一方が不要ではなく、どちらの「医療機能」も必要だ。「経営」の視点も欠かせない。いかに良心的な、患者が喜ぶ医療を提供しようとも、経営が成り立たなければ続けることができない。
災害時、医療従事者はチームを作って行動する。県立、赤十字の「隔たり」はない。両病院の医療従事者には、「手を携え患者を救う、地域を救う」観点で問題を捉えてもらいたいと願っている。救えるのは、政治家でも住民でも、ましてや県、赤十字という組織でもない。直接、医療に携わり、日々患者、家族と向き合うみなさんだけなのだから。(足立智和)