沖縄本島から高速艇に揺られ、東へ5キロほど進むと、メロンクリームソーダのような色をした海の上に、平べったい島が見えてきた。
休暇を利用して、沖縄県南城市の久高島を訪れた。琉球の創生神が降り立ったとされ、聖地として崇められた土地だ。
島民のガイドをお願いしておくと、日焼けした顔に、優しい笑みをたたえたおじさんが出迎えてくれた。「土地の使い方のユニークな例を紹介する」と言って連れて行ってくれた畑には、区割り役の小さな石灰岩が点々と並ぶ。
おじさんによると、島では15歳になると全個人に自動で畑の使用権が与えられるという。しかも、家族で一箇所に固めない。場所によって作物の出来具合いが違うため、公正公平にするためらしい。
島には「太陽の下に貧しいものは置かない」という意味のことわざが伝わる。子どもが生まれれば、「島の子ども」として、全員で育てる。みんなが平等なのだ。琉球の習慣「ゆいまーる(助け合い)」を体現した生活なのだ。
島の一つ一つに驚きながら、とてもうらやましく感じ、島外のことを思い返し、少しさびしくなった。(森田靖久)