わが村の「堂の講」

2013.02.07
未―コラム記者ノート

 先月、私の暮らす集落、篠山市今田町下小野原で五穀豊穣や無病息災、家内安全などを願う年始の行事「堂の講」(「ドノコ」と発音)が行われた。公民館に集まった約40人の住民それぞれが、ヌルデ(ウルシ科)の木にシキミや御幣、御札などを飾り付けた「ゴズエ」と呼ばれる長さ50ほどの杭を手にスタンバイ。祭壇で読経を唱える住職の合図で、一斉にゴズエを机上に振り下ろして打ち鳴らし、けたたましい音を立てながら祈願するという世にも奇妙な行事だ。
 この行事がいつから始まったのか、それを記したものはないが、少なくとも江戸初期には行われていたとされている。しかし、ゴズエに飾る御札「牛玉宝印(ごずほういん)」を刷っていた版木が現存しており、その制作年が1426年(室町時代)であることから、「ひょっとしたら、580年ほど前から行われていたかもしれない」と同住職。
 ご先祖様が絶やすことなく脈々と受け継いできた行事が、今なお同じように行われていることを思うと、壮大な命のつながりを感じ、思わず身震いした。(太治庄三)
 

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