篠山城跡南堀を埋め尽くしていた夏の風物詩、ハスが2006年ごろに消滅した。その原因は外来種の「ミシシッピアカミミガメ」による食害だとして、篠山市はカメの捕獲に乗り出した。先日、市職員や高校の生物部員、専門家ら約10人が集まって、「もんどり」というかご罠で30匹近く捕まえた。
ミシシッピアカミミガメの子どもは、「ミドリガメ」の名前で夏祭りの夜店やペットショップなどで売られている。しかし、成長すると甲羅の長さが25ほどにもなり、おまけに寿命も長い。持て余した末、野外にポイッ。この行為が後を絶たない。
アカミミガメに罪はない。カメはただ純粋に生きるために、近くにあったハスの若芽や根っこを食べただけ。好き好んで堀を占領した訳でもない。ハスの消滅は、「かわいい~」と飼い、「もう飽きた…」と捨てた人間の身勝手によって引き起こされた問題だ。外来種が侵入するきっかけはいつも人間の何らかの行為によるもの。ハス消滅が本当にこのカメによるものだとしたら、それは物言わぬ自然界からの警鐘だと受け止めなくてはいけない。(太治庄三)