介護保険のサービスの1つ、訪問入浴。丹波市で唯一のサービス提供事業所、市社会福祉協議会の訪問入浴サービスセンターが利用者を入浴させるところを、利用者と家族の了解を得て取材させてもらった。防水シートを敷き、ベッドの隣に浴槽を置き、1滴の水も畳に漏らさず、手際良く入浴させる「お風呂の出前」。寝たきりの人が横になったまま入浴できるよう、ハンドルで体の傾きが変えられるなど、装置が良く出来ていて感心した。
家族は、シャンプー、リンスとタオル、着替えを用意するだけ。おばあさんは「気持ちええわ」を連発。体を清潔に保て、利用者、介護者が、体と心の両面で満たされ、これは助かると思った。
湯は運んで来るとして、排水をどう処理するんだと見ていると、ホースを伝って、利用者宅の排水口に流していた。取材した日は、別の利用者宅でもらった柚子を浮かべており、柑橘のいい香りがした。
介護者である利用者の娘さんは、動けないのに本人が入りたがるので、家の風呂は故障していることにしていると言われていた。「本当に助かっている」という言葉に実感がこもっていた。 (足立智和)