小学生の頃、サンタクロースにお願いした。「野球盤がほしいです」と。クリスマスの朝、枕元にあったのは、「まんが日本昔ばなし集」だった。たぶん、泣いたと思う。
それでも夜、眠る前には必ず両親が読んでくれた。「三枚のお札」「八郎潟の八郎」「古屋のもり」―。大人になった今でもいくつか覚えている。
内容のほとんどは、悪いことはしてはならないという教訓だ。きっとサンタさんは、私のために良かれと思って裏切ってくれたに違いない。
アニメでは市原悦子さんと常田富士男さんの語りでさらに楽しい内容だった。一度でいいから、山盛りの白米を三口ほどで食べてみたい。
前号「記者ノート」でも取り上げられていたが、最近の子どもは携帯で遊ぶ。そこに教訓は少ない。大人に語ってもらうこともない。それが私にはさびしい遊びに思えてならない。
丹波地域でも昔話サークルや本の良さを伝える子育て世代が活動している。ぜひ、子どもたちに教訓と優しさを伝えて続けてほしい。
私もいつか出会うだろうわが子に楽しく語ってやりたいと思う。(森田靖久)