森に活気が戻る日

2014.11.13
未―コラム記者ノート

 大山小学校5年生の枝打ち体験授業を取材した。現場は、山奥の寺の脇から続く林道をさらに20分ほど歩いたところ。講師を務めた大山振興会の理事長いわく、「近年の木材需要の低迷で、杉や桧は伐採も植林もほとんどしておらず、枝打ちのできる場所が近くにない」。日本の林業の現状を物語る言葉だった。
 日本は、国土面積の67%(約2500万)を森林が占める世界有数の森林大国。そのうちの約4割が人工林で、昭和20年代半ばから植林してきた木々は、今、伐採適齢期を迎えているという。しかし、国内供給の木材の7割強が外国産材だ。日本は全国的に十分な降水量があるため、どこでも木が育つ環境にある。資源の乏しい国ながら森林資源は豊富にあるのに十分に活用されていない。
 心配する大人を尻目に、危なっかしい手つきで懸命にノコギリを振るう大山小の児童たち。枝を切り落とすと「やったー」と歓声をあげ、屈託のない笑顔を見せていた。将来再び、日本各地の森に活気が戻る日がやって来るのか。それとも…。今がその分岐点なのかもしれない。(太治庄三)
 

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