路上の骸

2014.12.18
未―コラム記者ノート

 11月に入ったあたりから、野生動物の交通事故死体をひんぱんに見かけるようになった。ほ乳類は秋以降に親離れをして、単独で行動をする種が多いため、経験値の少ない若い個体が犠牲になってしまうことが大きな原因という。私の感覚では、今季、特に多く目にしているのが、鮮やかな黄色の冬毛をまとった「テン」(イタチの仲間)だ。ネコほどの大きさしかないため、はねてしまった運転手も車も無傷でいられるが、相手がシカやイノシシなどの大型獣となると、そうはいかない。
 今秋、三田市で、道路脇から飛び出してきたイノシシを避けようとした車がガードレールに衝突。運転手が鼻の骨を折るけがをした。山形県ではカモシカが車の多重衝突事故を引き起こした。10年ほど前には、栃木県でバイクがシカと衝突し、男性ライダーが死亡する事故も発生している。野生の王国丹波地域においては、いずれの事案も決して他人事ではない。
 路上に横たわるテンの骸(むくろ)を自分への警告として捉え、何かと慌ただしい師走だが、人にも野生動物にもやさしい運転で、笑って正月を迎えたい。(太治庄三)
 

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