プロ野球

2015.05.13
丹波春秋

 筆者が小学生だった昭和29年、高橋ユニオンズという大変弱いプロ野球チームが現れた。南海、西鉄の全盛時代。あまりの弱さにファンでないのに気になって仕方なかった。▼パリーグをセに対抗するため8球団に増やそうと発足したのだが、寄せ集めの選手ばかりで10連敗、12連敗を繰り返し、31年まで3年間で146勝281敗8分という惨憺たる成績を残し、32年のシーズン開幕前に解散した。▼1対17のスコアや1イニング7四球といった不名誉な記録を出し、老兵スタルヒンの通算300勝達成、また3年目に六大学のスター、佐々木信也が入団し奮闘したことぐらいが明るい話題だった。▼「最弱球団高橋ユニオンズ青春記」の著者、長谷川晶一はしかし、「『最弱』だったが『最低』ではなかった」と評する。サヨナラエラーをした佐々木がその場でうずくまっていると、ナインが「気にするな」とベンチまで肩を抱いて連れ帰ってくれた。「良いチームだな」と感激したが、ニュースキャスターになった後年、「だから弱かったんだ」と気付く。▼柏原高卒のプロ入り第1号、西本道則もテスト合格で32年に入団が決まっていたが、チームの消滅で吸収合併先の大映に移籍。1年だけいて3勝を挙げた。▼今シーズンは両リーグ白熱の混戦。ずっと負け組だったDeNAに喝采を送る。(E)

 

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