タクシー運転手

2016.01.07
丹波春秋

 東京のホテルから早朝、顔を負傷しながら飛行機出発ぎりぎりの時間にタクシーに飛び込み、運転手に的確機敏に対応してもらったお蔭で1分差で間に合った。こんな地獄で仏の記事(12月24日号本欄)を、領収レシートにあった会社へ丹波のお菓子と共に送ったら、運転手のAさんと社長から礼状が届いた。▼彼は昨春入社後に2種免許をとったばかりの新人。乗務員集会で記事が披露され拍手を受けたという。「乗務員の救急対応の大切さを改めて実感し、勉強を続けるつもりです」とAさん。社では4年後の東京五輪に向け、外国客にも喜ばれるサービス向上対策を始めているそうだ。▼筆者は海外で、タクシーに乗る時に最も気を遣う。国にもよるが、チップを要求されたり、明らかにぼられているとわかることが珍しくない。日本のタクシーではまずあり得ないことで、細かい釣り銭まできっちり払ってもらえる。マナーの良さと安全安心さで世界最高なのは間違いなく、料金が多少高いのは致し方ない。▼タクシー運転手は外国人にとって、その国の町に入って初めて出会う邦人の1人。その印象次第で国の印象は大きく影響を受ける。Aさんのような運転手が増え、日本のおもてなしの心が世界に広がっていけば、日本の評価は一層高まることだろう。(E)

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