報道

2016.02.17
丹波春秋

 NHKテレビ9日放送「クローズアップ現代」の「がんを生き切る―残された時間どう選択」という番組で、全身へのがん転移を公表している女優、樹木希林が満面の笑顔で自分の死生観を語った。▼また終わる間際、「(こんな事情の身だが)この番組への出演は二つ返事でOKした。大好きな番組で、国谷さん(裕子キャスター)に是非お会いしたかったから。NHKは大変な財産をお持ちですよね」と述べた。同キャスターが3月末で降板させられることへのゲリラ発言に違いなく、希林の面目躍如だった。▼同番組はやらせとかの不祥事もありはしたが、当り障りのない解説の目立つNHKの報道番組の中では骨太さを感じさせ、結構人気もあった。放送時間が繰り下がり若手アナウンサーが日替わりで出る4月以降、どうなるだろうか。▼筆者は報道番組では以前、NHKしか観なかったが、今は大体民放を観ている。NHKが取り上げない領域まで踏み込み、多彩なゲストが登場して活気が感じられるからだ。無論、中にはどうかと思うのもあるが、視聴者の眼は肥えている。▼公正な報道をめぐり放送局の電波停止に言及した高市総務相の答弁が論議を呼んでいる。公正さは当たり前の事だが、活発さを失えば視聴者からは見放される。新聞も同様だ。(E)

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