時間と安心

2016.02.27
丹波春秋

 15年ほど前だった。当時の篠山市長、瀬戸亀男氏に小学校の統合問題について聞いた。取材ではなく、雑談での質問だった。予測される少子化の進行を背景に、小学校統合がうんぬんされ始めた時期だった。「小学校統合は、中学校の統合とは違う。安易に手をつけると、首長の首が飛ぶ」。瀬戸氏の返答を今でも覚えている。▼小学校は、それぞれの地域のシンボル。地域と密接に結びついているだけに、小学校の統廃合は地域のつながりを壊しかねない。住民の反発も十分に予想される。だからこそ、慎重の上にも慎重であらねばならない。それが瀬戸氏の考えだったと思う。▼少子化の進行を考えると、やがて統廃合することは避けられないとみられたが、現実として統廃合を受け入れるには一定の時間が必要だと思われた。地域にとって大きな変化に対応するための時間だ。▼それだけの時間が流れたのか、6年前、日置・雲部・後川の3校が統合。その3年後には城北・畑、そして今春には大芋・村雲・福住の3校が統合する。▼篠山市、丹波市の人口は、現状のまま進めば2060年には今と比べそれぞれ半減すると推計されている。地域の激変だ。60年までの時間は、激変を受け入れるための猶予期間ではなく、激変を少しでも食い止めるための期間としたい。(Y)

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