恐怖

2016.03.31
丹波春秋

 3月20日号の漫画「たんばがくえん」で、野良猫君達が空を眺めて「あっ、(北朝鮮の)ミサイル!」と驚いている場面にはっとした。3、40年前に似たようなラストシーンの映画を観たことがあったからだ。▼漫画の猫達は「あれはただの飛行機や」ですんだが、映画は本物の核ミサイルだった。農場にいる父子だったような気がする。真っ青な空を白い筋を描いて上昇していくのを、「遂に起きてしまったか」と呆然と眺めている場面だけ鮮明に覚えている。米ソの冷戦下、両国間できわどいやりとりが展開された末に、何かの手違いからどちらかが発射してしまい、迎撃も不可能になる。▼「教えて!goo」というサイトに、このラストシーンを手がかりに題名を問い合わせたら、「未知への飛行」、「The Day After」などの回答がいくつか寄せられたが、いずれも核爆弾の投下で悲惨な結末まで映像化された作品らしく、筆者が観たのとは少し違う。▼結末が現実化する直前で終わる分、恐怖の余韻がより強く残ったと思うのだが、似た筋立ての作品が当時少なからずあったようだ。▼冷戦後の今は、米ロ間でこういう事態が起きることは想定されないものの、それに代わって新たに底知れない恐怖が我々を取り巻いているのは事実である。その緊張感は持ち続けたい。(E)

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