今日以来

2016.07.28
丹波春秋

 「あきれてものも言えない」話が毎日のように耳目に入ってくるが、大国が国家ぐるみでドーピングを隠ぺいとは、極め付きである。しかもプーチン大統領は「反ロシアの陰謀」と開き直り、リオ五輪への参加を巡っては、裏で金も動いたのか、IOCの結論も腰砕けのていたらく。▼ドーピングの記事の傍に、フォルクスワーゲンの排ガス不正を「社長は以前から知っていた疑い」の見出し。このニュースも「あのVWが

!」と世界を驚かせたが、日本の三菱、スズキも同様の不正を暴かれ、国土交通省の監督官を「性善説に頼りすぎた」と嘆かせた。▼「恥の文化」を持つはずの日本なのに、東芝、東洋ゴム、旭化成など有名企業の幹部が続々と謝罪する羽目に。パナマ文書で明るみに出た脱税疑惑などは、霞んでしまうほどだ。▼「企業倫理」などというものは、競争激化の前に劣化してしまったのか。ある証券会社の常勤監査役を務める友人は「経営者の資質の問題だろう。サラリーマン重役はおかしいと思うことがあっても、異を唱えられないからね。社外取締役を取り入れても、形だけなら意味はない」と話す。▼「人の善意を信じることは怖いことです綱渡りです。人の悪意を信じる方が安全でし

ょうね、寂しいけれど」。中島みゆきが軽快に歌う「今日以来」が妙にリアルに響く。(E)

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