東京都知事

2016.08.04
丹波春秋

 1995年の東京都知事選挙に出た青島幸男はろくに運動をしなかったのに、自民、社会、公明支持の本命、石原信雄や大前研一らの有力候補に圧勝。自身がとまどうほどの番狂わせだった。▼しかし、開発が進む臨海副都心地区での世界都市博開催の中止という公約だけは実行したが、これが唯一の実績。都政の改革を標榜したものの、都官僚の厚い壁に阻まれてか、何も出来なかった。自分宛の小包が爆発して秘書室の職員が負傷するなどの事件もあり、だんだん嫌気がさしていたのだろう。▼親しい友人知人のことを書く日経のコラム「交遊抄」で当時、「有能な副知事達に感謝」の旨の青島の寄稿を読んで驚いた。マジで書いてあり、副知事にまる投げで書かせたか、或いは、どうでもいいやという気持ちだったのかも知れぬ。1期だけやって退き、後任は石原慎太郎。都知事選はその頃から完全に人気投票になった。▼今回も役者が揃って話題を呼んだ割には、あっけない勝負。小池新知事は、「東京五輪の顔」という点では最適任だろう。都議会との軋轢も半年ほどは尾をひこうが、要領の良い彼女のこと、そのうちうまく折り合いを付けるに違いない。▼だが、概して期待は持てない。日本一恵まれた自治体、東京の首長など、誰がやってもそう変わり映えはしないだろうから。 (E)

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