異文化融合

2017.02.23
丹波春秋

 日本語を学ぶアジア人学生を支援するNPO「アジアの新しい風」が東京で開いた日本語スピーチコンテスト。6人の留学生が「外国から見た母国」という共通テーマで話した。▼最も興味深かったのは、タイの女子学生、クスマーさんの話。それによると、タイでは“日本風”の食べ物や製品が大変売れている。「寿司ドーナツ」はケーキの上にトロやマグロに似せたクリームやチョコを塗って寿司風にした菓子。また富士山のデザインのラベルを貼った化粧品「富士クリーム」は、タイの企業が国内の原料で作っているだけなのに、若い女性に大受けとか。▼アニメの影響も大きいのだろう。日本ブームは結構なことながら、日本文化や日本製品の性能が誤って伝えられる懸念もなくはない。▼しかし、考えてみれば日本の我々の周囲でも同じようなことは起きている。「アメリカン・コーヒー」を、知人のアメリカ人は「日本に来るまで全く知らなかった。なぜそう呼ぶの?」。筆者も、ウィーン市内の喫茶店で「ウィンナー(ヴィーナ)カフィ」を注文した時、きょとんとされるばかりだった。▼とは言え、「寿司ドーナツ」はアイデアが日本に逆輸入され、ドーナツ状の酢飯の上に具を載せた本当の寿司として出回っているそうだ。“異文化融合”とは、誠に奥深い。 (E)

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